あれはたしか小学低学年の夏休みの朝。
ラジオ体操に行こうと、一人だけ早起きして、スタンプを押してもらうカードを取ろうと、いつも置いている押入れの戸を開けました。
寝起きで、まだボーっとしていた私。
戸を開けた瞬間、目の前には、漫画に出てきそうな蜷局(とぐろ)を巻いた、恐ろしく長細く、黒に近い色の蛇がいました。
ウギャーーーーーーーーーー!!!!!!!
あまりにも驚いた私は大声で叫びました。
蛇もその声に驚いて、へ!?っていう感じで顔をこちらに向けました。
そして、私は戸を閉めました。
そこへ、その時まだ元気だった曾祖母がやってきました。
私は蛇のことを話し、恐る恐るもう一度戸を開けてみました。
すると、もうそこにはいなかったのです。
あれだけ大きな蛇が、押入れに入るような穴もないのに、どうやってやってきて、どうやって去っていったのか不思議でなりませんでした。
どういうこと!?と考えていると、曾祖母が、「それは家を守ってくれているんだよ。」と言いました。
あの大きな蛇は家を守ってくれてるのかーと、そのまま何の疑問も持たずに納得して、私はラジオ体操へと出かけていきました。
Midoriさんにそのことを話すと、「その通りですよ。家を守ってくれている存在ですよ。」と。
あれ?私は生きている蛇が家を守ってくれていると思っていたんですが、これは生きてる方のやつじゃなくて?
「違いますよ。向こうも普段、姿を見せないけれど、気を抜いていたんでしょうね。Megumiさんも朝でボーっとしていたからニュートラルな状態で見やすかったのでしょう。蛇もかなり驚いたと思いますよ。」
そうか、今まで私は何も気が付かないでいたけれど、見えない世界とは昔から縁があったのかーと、妙に納得をしたのでした。
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