(7) 子どもの頃にみた不思議なもの。


あれはたしか小学低学年の夏休みの朝。

 

ラジオ体操に行こうと、一人だけ早起きして、スタンプを押してもらうカードを取ろうと、いつも置いている押入れの戸を開けました。

 

寝起きで、まだボーっとしていた私。

 

戸を開けた瞬間、目の前には、漫画に出てきそうな蜷局(とぐろ)を巻いた、恐ろしく長細く、黒に近い色の蛇がいました。

 

ウギャーーーーーーーーーー!!!!!!!

 

あまりにも驚いた私は大声で叫びました。

 

蛇もその声に驚いて、へ!?っていう感じで顔をこちらに向けました。

 

そして、私は戸を閉めました。

 

そこへ、その時まだ元気だった曾祖母がやってきました。

 

私は蛇のことを話し、恐る恐るもう一度戸を開けてみました。

 

すると、もうそこにはいなかったのです。

 

あれだけ大きな蛇が、押入れに入るような穴もないのに、どうやってやってきて、どうやって去っていったのか不思議でなりませんでした。

 

どういうこと!?と考えていると、曾祖母が、「それは家を守ってくれているんだよ。」と言いました。

 

あの大きな蛇は家を守ってくれてるのかーと、そのまま何の疑問も持たずに納得して、私はラジオ体操へと出かけていきました。

 

Midoriさんにそのことを話すと、「その通りですよ。家を守ってくれている存在ですよ。」と。

 

あれ?私は生きている蛇が家を守ってくれていると思っていたんですが、これは生きてる方のやつじゃなくて?

 

「違いますよ。向こうも普段、姿を見せないけれど、気を抜いていたんでしょうね。Megumiさんも朝でボーっとしていたからニュートラルな状態で見やすかったのでしょう。蛇もかなり驚いたと思いますよ。」

 

そうか、今まで私は何も気が付かないでいたけれど、見えない世界とは昔から縁があったのかーと、妙に納得をしたのでした。